【1】先生

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登山入口で名前を書いた。 標高の高い山に登る際にはこの作業は絶対だ。 もし山で遭難した場合、身元を探す手間が省けるからだ。 ハアハアと息切れをしながらも、私は苦しくても山に登る。 『そこに山があるからだ』 などとは言わない。 ただ山に登れば私のトラウマなど無に等しいからだ。 心が澄むからだ。 けれどキシキシと揺れる吊り橋。 下山して帰り際に立ち寄った吊り橋で、私は思わぬ人と遭遇してしまった。 ドキドキと胸が激しく鼓動するのは絶対吊り橋効果ではない。 「相良さん…。」 「由井先生…。」 私は二度と会う事はないと思っていた相手と、再会した。 .
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