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「どうやら治ったみたいです。」
「え?」
「先生のお陰でトラウマを克服できました。
どうもありがとうございます。」
私はペコリと頭を下げる。
「え?」
先生は思いっきり動揺していた。
私はその顔を前にニコリと微笑む。
「今日まで私の悩みに付き合って下さって、先生には本当に感謝してます。
それで…、もう大丈夫ですとお伝えしたくて…。」
「……。」
先生は黙り込み、私はと言えばずっと笑顔で有り続けていた。
絶対に泣いたりなんかしないから。
「私…、気付いたんです。
今度こそ愛する人と抱き合いたいって。
だから…、今日でサヨナラしましょう。」
いつもニコニコと笑っていた先生。
私も先生の真似をしてニコニコと笑った。
もう誰にも頼ったりなんかしない。
もう二度と恋なんかしない。
そう心に決めて…、
私は新たなトラウマを抱えて一人歩いて行く。
そして、先生はそんな私を引き止めたりはしなかった。
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