小説家デビューが決まりました！

『おめでとうございます！　あなたがお書きになられた作品が、この度、《小説家を目指そう》サイトの記念すべき第１００回小説新人賞に決まりました。さらに、正式に本として出版する運びとなりました。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《小説家を目指そう》サイトスタッフ』

　スマホに届いたメールの文面を見て、ぼくはその場で思わず飛び跳ねてしまった。

　苦節二十五年。今まで数え切れないほどの小説を新人賞に応募してきた。ネットが普及してからは、ネット上に作品を上げ続けてきた。

　しかし、ただの一度として賞を貰ったことはない。もしかしたら、自分には小説家としての才能がないのではと考えたことも数え切れないほどある。

　しかし今日、遂に待ちに待ったその瞬間が訪れたのだ。

「これまで諦めずにやってきた甲斐があったよ。長い道のりだったけど、人間、諦めずに継続することこそが大事なんだな」

　本当はこの幸せをもっと深く噛み締めていたかったが、それよりも今は返信メールを送ることの方が先である。

『ぼくの作品を選んでいただき、本当にありがとうございました。ぜひ本として出版して頂けると嬉しいです』