小説家デビューが決まりました!

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以下の口座に入金が確認されしだい、あなた様の作品の出版について具体的な話を進めていきます。 では、よろしくお願いいたします。                    《小説家を目指そう》サイトスタッフ』  五分も待たずに、サイトのスタッフからメールが届いた。まるではじめからメールの本文が用意されていたみたいな早さである。 「まあ、今はネット社会だからな。こういうやりとりもきっと早いんだろう。とにかく、この五十万という手付金を用意しないと。言うなれば、このお金はこちらの身分確認みたいなものだから、早めに入金しないといけないよな。小説がしっかり販売されれば五十万は返ってくるんだし、もしも小説がベストセラーにでもなれば、その何倍ものお金が入ってくるんだから、この程度のお金くらいは問題ないさ」  ぼくはすぐに銀行に行って、メールに書いてあった入金先にお金を振り込んだ。 「これでよしと。すぐにまたメールがくるだろうから、少し待つとしようか」  あれから、100日近くの月日が過ぎた――。  今日も書店に行って確認してみたが、やっぱりぼくの作品は店頭に並んでいなかった。その代わりというわけではないが、ある週刊誌の表紙に踊っていた見出しが妙に目に付いた。     
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