†一章† 捜索前線

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 声を掛けると、苺弥はますますうつむいた。  そうだ。世景と初めて対面した時の印象の悪さといったら、もはや挽回し難いだろう。  苺弥は世景に忠実だ。ならば、世景が嫌うダムピールを、間違っても友好的だとは考えるはずがない。  解りきっていることだが、澄輝にしてみれば腹立たしい。  血が。この、血が。自らに全く選択権のなかった流れる血なんかのために、こうして恨みやら復讐やらのとばっちりを受けろというのか。  ……と、それはともかくとして。 「何が、あったのですか……?」  遙火の態度が変わった。眠たげな半目はもとよりのままだが、態度が────空気が引き締まったというべきか。  感情があまり読めない表情ではあるが、或いはその分なのか、こうした緊張感は伝わってくる。  むしろ、これが魔術師というやつか。  どちらにせよ、遙火が気を引き締めたり緊張を見せたりする時は大抵切迫した事柄がある場合ばかりで、そう簡単に構えてもいられない。  覚悟と、何があろうと動じぬという心構えが必要だ。
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