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完結まで読んだ方専用【もしも…エンディング2】(まだ続きます)
「確かに、それはもっともな話だ。しかし、俺が捕まることはどうしようも無いが、響子は俺と無関係であったと偽装することはできる」
「えっ……?」
「お前を殺した後、教団と響子の関連を示す痕跡を全て抹消し、俺も自殺する。ここまできたら仕方ない。俺は愛に殉じることにするよ」
陽明の言葉は、ナイフよりも鋭く僕を突き刺した。
このままじゃ、あの女は何も知らないパパと結婚して、何の罪も償わないまま幸せな生涯を送ることになってしまう。
嫌だ!
そんなの、絶対に嫌だ!
「さあ、終わりにしようか」
陽明がナイフを振り上げる。
「やだ、やだよ! やめてよ、お願い、許してよ!」
必死に懇願するも、陽明は何も答えずに笑っている。
いやだ、死にたくない……!
こんなところで、こんな形で死にたくないよ……!
「死ね……!」
いやだああああああああああああ!
――僕の胸に熱い痛みが走る。
銀色の刃が、僕を貫くのが見える。
触れようにも、手は動かない。
ただ、見えるのは朱。
僕の身体を浸食していく朱。
ああ、僕はもう死ぬんだ……。
段々と暗闇に包まれていく視界の中で、僕はただ、ママやパパやカナちゃんと過ごした幸せな生活を思い出していた。
―――続く。
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