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朝、目覚めると、何かが足りなかった。
昨夜はミヤビとくだらない会話をした記憶がある。
ミヤビはあれでいて化粧などに詳しい、わたしは初めてラメを教えてもらった。
自称ではあるがミヤビはお嬢さまであるとのこと。
女狐が良く言うと呆れていた。
そうか、足りないのはミヤビだ。
いつの間にかに寝落ちしてしまったからだ。
わたしは頭をかきながら寝ぐせを直そうと鏡に向かう。
鏡に映るわたしはぼっーとしている。
気がつくと鏡の前に香水が置いてある。
ミヤビの忘れ物かと手に取ってみるが、わたしには関係ないと言い聞かせて元の場所に戻す。
今のわたしには銀鏡の刀の方がお似合いだ。
でも……。
わたしは再び香水の瓶を手に取る。
少しぐらいなら……。
シュっとすると柑橘系の爽やかな香りが放たれる。
「この香り……懐かしい……」
わたしは独りごとを呟く。
香水の微睡のなで夢見る気持ちに浸かっていると。
携帯が鳴る。
ミヤビからのメールだ。
わたしが綺麗だというのだ。
女狐らしいことであった。
わたしは部屋の真中で銀鏡の刀を抜刀する。
真剣の重さを両手で感じていた。
『この一振りに我あり』と叫び精神を集中する。
わたしは目を閉じて光を感じる、朝日が部屋の中に入ってきたのだ。
『よし』と気合を入れて朝ご飯の為に自室を後にする。
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