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「父様はトワさんと最近会っていなかったの?」
「うん。この十四年位は会う時間がとれなくて。文は交わしていたんだけどね」
「十四年・・・・・・」
それはとても長い年月だと思う。俺が父様たちに引き取られ、息子として国民の前に出された頃からだろうか。
「嫁のエディと、息子のクレイだ」
そう言って紹介された二人に、父様はとても驚いている様子だった。
「え、息子って、えぇ!? 結婚してたのもビックリだけど」
「父様、知らなかったの?」
「う、うん。手紙ではそんなこと一言も」
「ちゃんと会って言いたいって思ってたら、すっかり機会を逃してしまって」
「そっか。おめでとう」
「ああ。息子は、エディの連れ子で、でも、暮らしはじめてもう十年にはなるし、本当の息子だって思ってる」
息子のクレイは、今年十六になるんだそうだ。俺より四つほど下だ。凛々しい顔つきで意思の強そうなきりっとした眉。固く結ばれた唇。俺はどちらかというと中性的な顔つきで、王子としてしまりがないなと自分でも思うほどだ。このクレイみたいな顔つきなら、威厳もでていいのにと思った。
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