百、ツの願イ

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女は何もかも知った顔で、この家のソファーに座った。 「アアー、外はイイネ。お茶頂戴ね。今からこの魔法のランプの説明スルから」 俺は、持参していたペットボトルを女に渡した。 ランプの精は慣れた手つきでフタを開け、飲み干す。この女、本当にランプの精なんだろうか。人間界の事情を知りすぎている。 死んだ叔父の恋人か何かか、それともドッキリか。 「このランプ、願い、こすった人、ひゃく、つ、ひゃくつ? ひゃっこ、百個の願い叶えてくれます。凄く便利。イイねー」 「ひゃく?!」 俺は大声を出した。 百個の願いを叶えてくれるなんて、聞いたことがない。 せいぜい一つか三つで、そのうちの願いのひとつを『願い事を百個叶えてください』とやるのが通説ではないのか。 「そそ、ひゃく。百個。でも以外とすぐ無くなるんだよーキヲツケテ!」 百個となると俄然話は違ってくる。億万長者でも究極の頭脳でも世界最高のイケメン(フェイス)でも何でも叶うのだ。 俺はしゃがみこんで、今すぐ叶えたい願い事を指折り数えて計算し始めた。 「アー、但し、条件ありますヨ」 ランプの精は言った。
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