幼稚園の魔術師

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 ひとは、何時から年をとるのか。  はっきとした年齢はないが、これだけは確かである「遊ぶことをやめた瞬間から、老けていってしまう」そして「持っていた夢まで諦めてしまう」 そうして大人になったひとは、みんなこう考えるだろう。 今いる自分は、本当になりたかった大人になり、やりたいことを楽しくしているのだろうか。あるいは、もっと別の未来があったはずだと。自分の未来は好きなように描くことができるが、それを実現するのは努力することと諦めないことだ。ペイジはそう思った。  「ぼくはひとの臓器を巧く書けるようになるぞ。将来はどんな病気も治すお医者さんになるんだ」  園児の一人、モモタロは画用紙に風船のように膨らんだ心臓を描いた。どきどきしたように力強く脈を打ち始めている。 召喚した体の一部を使えば、ドナーになって体の一部を失うひともいなくなる。そう考えたようだ。
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