鬼の飢餓と捕食

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朝、私が起きるとそこに雲長さんの姿はなかった。 かなり慎重に私を退かしてくれたらしく、しっかり掛け布団もかけてあった。 てか、雲長さんの方が疲労してたハズなのに私より早く起きるとか…… 桃香「回復するの早いわ……」 私は雲長さんの体力に関心しつつ支度を整える。 雲長さんから精気を貰ったおかげで、私の体力も完全に回復した。 つい昨日まで、動くのさえしんどかったのに今は軽い軽い。 改めてお礼を言いに行かなきゃと外に出ると、三兄弟+雲兄が立っていた。 桃香「おはようございまーす」 劉備「おぉ、桃香!体調の程はどうだ?見る限りは元気なようだが」 桃香「うん!もうすっかり!」 趙雲「よかった…。ずっと心配していたのだぞ?」 桃香「…ごめんね雲兄、これには深い事情が……」 あとでしっかり説明しようと考えていたら… 劉備「…桃香、先程我々は雲長よりその事情を聞いた。体調を悪くしていたのは、鬼の方の食事を絶っていたからだと」 どうやら、雲長さんが早くにみんなを集めて先に説明したようだ。 関羽「すまぬ桃香。勝手ながら拙者からその旨を説明致した。内容が内容故、お主にはやはり言い難いと判断して拙者から申し上げた次第だ」 雲長さんは、私に気を遣って先に説明してくれたんだ。 桃香「うぅん、正直ありがたいよ。……黙っててごめんなさい……」 私はみんなに、深々と頭を下げる。 趙雲「…………」 劉備「……まぁ、こればかりは致し方ないだろう。易々と言える内容ではなかったのだからな」 趙雲「えぇ……。相応の覚悟がなければ難しかったでしょう。しかし、やはりあれほど弱る前には説明してほしかった…」 桃香「……うん、ごめん…」 若干怒った様子を見せる雲兄。 雲兄って実は怖い人だったんだなと感じた。 張飛「まーいいじゃねぇかよ、結果として理由が分かったんだからよ。コイツだって、俺達を想って黙ってたんだ、責めるワケにはいかねぇだろ」 そして、翼徳さんが意外と優しいのだと改めて気づいた。 関羽「言い難い内容もそうだが、桃香は優しい心を持っているからな……。迷惑を掛けまいとしていたのだ」 趙雲「えぇ、承知しております。桃香を責めるつもりなどありませぬ。ただ……義の誓いを結んだのだから、もう少し妹として甘えてほしかった…と義兄として思ってしまいました」 桃香「本当に、ごめんね……?でもこれで全部曝したよ。もう私の隠し事はないから」 趙雲「……そんな泣きそうな顔をしないでくれ。そう思っても、お前の気持ちはよく解っているから」 困ったように笑いながら頭を撫でる雲兄。 劉備「これで本当に全てなら、それでよい。しかし、むしろお前が人を喰らう種族でなかったのが救いであった。犠牲を生まずに済むのだしな」 趙雲「精気、と呼ばれるものを吸い取ると関羽殿からお聞きしているが……」 桃香「うん、私からも一応説明するよ……恥ずかしいけど」 雲長さんが先に話しておいてくれてよかった。 少しだけ、恥ずかしい気持ちはあるけど……それでも口にしやすかった。
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