真冬の虚像

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「次は中国で頑張ってくれないか?」 内示が出たのは2ヶ月前。 表向きは昇進だが、まわりからはこれまでのパワハラ行為が原因でとばされるんだと、さんざん言われた。 これが、お前を失ってまで手に入れたかった結果なのか。 あっというまに送別会が終わり、俺は中国へ行く準備に追われた。 年明けからは中国だ。 いつ帰って来れるかはわからない。 俺はSNSで「お世話になった皆様へ」と 中国に駐在になったことを投稿した。 あいつは…この投稿を見るのだろうか。 ただ俺はあいつの幸せを願いながら、 中国の空を見上げていた。
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