第五章 本命とラーメン

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「よぉ、タカシちゃん!」 「やぁ、ども」 今度はキャバクラの裏口で空のビール瓶の仕分けしていた、バーテンダーの男が声をかけてきた。  「どうよ、景気は?うちもなるべく女の子たちを辞めさせたくないけど、こう不景気だと…」  「同感。でも、よっちゃんトコはいい客に恵まれてるんだろ?」  「まぁね。ほら、前にタカシちゃんが紹介してくれた、建設会社のシャチョーがいい人でさ。ありがとね…」   ホルターネックのベストを着たそのバーテンダーは、愛想よくタカシの肩をポンポンと叩く。  「それよりも聞いたぜー?山口先生と熱愛なんだってなー?オレ、タカシちゃんの趣味、初めて知って驚いたぜー?」  「はははは…」   やれやれ…ここでもばればれか…。タカシはまた苦笑いをした。行く先々で声をかけられることは、いつものことだが、どうも最後には自分とルカの仲のことを聞かれたりする。こりゃ…鳴海の言うとおり、この界隈では公認になったと考えるべきか。
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