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鈴を握り締めて色々なことを思い出して俯くと、鈴彦が私の頭に手を乗せた。
「此度は大儀であったな」
「……どこかで見てたの?」
「ちらりちらりと。池の傍で何かが起こっていたくらいの事は解かる」
「ちょっとは助けようと思わなかったわけ?」
「当代の者が何とかするであろう。既に鬼籍の者に何を求めている。甘ったれるな」
「でもさー、ちょっとくらいさー」
「水彦が助けたではないか」
「えっ。そこまで知ってんの?」
「……現世に存在する我らには色々と制約があり、繋がっている。さて。お竜が首を伸ばして待っているので帰る。またな」
ぽんぽんと二度私の頭を叩いた鈴彦はふわりと浮かび上がって、スズカケノ池の方角へ飛び立つ。
世代が遠いと正武家特有の過保護は発動されないのかな。
そんなことを考えながら青空を見上げていると、玉彦が私の手を取る。
「鈴が見つかったと稀人たちに教えねば」
「あ、うん」
「それにしてもスズカケノ池に流れ着いていたとはな」
「井戸の流水はスズカケノ池に流れ込んでいるのかしらね」
「いや、しかし……。須藤の見立てでは七龍川だろうと言っていた。地形に詳しい須藤の見立てが間違っているとは思えぬ。俺ですら七龍川方面だろうと思っていた。一体これは……」
「なんにしたって鈴は無事に見つかったんだし、良いじゃないの。そんなに考えたって、わかんないわよ。そういうものだからそういうものだと思うしかないじゃないの」
「比和子に言われると説得力がなく、腹が立つのは何故か……」
「ほらほら皆のとこに行こう。早く教えてあげないと捜索に出ちゃうわよ」
考え込む玉彦の背に両手を当てて歩きだせば、帯紐に巻き付けた青紐の鈴がチリリと鳴る。
すると玉彦の持つ赤紐の鈴が、彼の袂でチリリと応えた。
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