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告白してからはあっという間だった。
時間はかかっていたのかもしれないけど、体感時間はあっという間だった。
デート、半同棲、同棲、婚約、結婚、妊娠、出産。
それから幾重にも時は刻まれて、比例するように皺も増えていった。
育児や仕事に追われながら、気付けば楽しく過ごす時間なんてなかったかもしれない。
そう言いきれる程に、ぼんやりとした記憶しかない。
思えばその頃には、一目惚れした当時の恋心を失っていたのかもしれない。
だが、君を嫌ったわけではない。
君も僕を嫌っているわけではない。
それはわかっているんだ。
ただコミュニケーションの手段を見失ったんだ。
子供を言い訳にするのは卑怯かもしれないけれど、2人で話す機会がなかった。
今、部屋の中でドラマを見ながら、お風呂上がりの煌めく程に濡れた髪を乾かす君の笑い声。
そうだ、楽しい時はこんな風に笑っていた。
歳をとっても、笑い方は変わらないものなんだな。
今更、気付いたよ。
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