欲しいものを与えます。※但し、数量100で渡せるものに限ります。

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ある森に男女四人が迷い込んだ。森には古びた小屋が、ぽつんと建っている。 小屋の前には、『欲しいものを与えます。叫んでください。但し、数量100で渡せるものに限ります』という看板が立っていた。 一人目の男は「万札をくれ!」と言った。 一人目の男の頭上に、一万円札が降り注ぐ。 一人目の男は「やったぞ! 百万円だ!」と叫んだ。 二人目の女は「馬鹿ねえ。そんなちっぽけな金額で喜んで」と笑った。 二人目の女は「たーくさんの金塊をちょうだい!」と叫んだ。 二人目の女の頭上に、百の金塊が降り注いで、女の頭は潰れた。 三人目の男は少し考えて「本皮で出来た袋をくれ、大きさは手のひらサイズだ」と叫んだ。 三人目の男は両手で頭を庇った。男の頭上に百の皮袋が降り注ぐ。 三人目の男は「これは貰っておくぞ」と、死んだ女の金塊を皮袋に詰めた。 四人目の女は、震えていた。二人目の女が死んだのに、悲しむ素振りもせず、金だけを抜き取る男に絶望した。 四人目の女は「こんな場所、もうイヤぁ! お母さん助けて!」と叫んだ。 四人目の女の頭上にお母さんが百人降り注ぎ、その場にいた全員が潰れてしまった。 百人のお母さんは、自分の子供が潰れてしまったことも気づかずに、落ちている金塊やお札を拾って森の外へと消えた。 ここは魔女の小屋。貴方の欲しいものは何ですか? ー了ー
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