ある生ゴミによる腐敗的な非難

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   ※   ※   ※  塗装が剥がれて錆も目立つようになってきた鉄籠の中には既に大小まちまちのごみ袋が、山を模るが如く所狭しと積まれていた。  玉ねぎやニンジン、スイカの皮、ナスのヘタやらキュウリの端など、調理の際に出たと思しき食材の切れ端を詰め込んだ袋がその大半を占めている。  その半透明な白いビニールの壁越しに覗く生ごみの色や形から、各ご家庭の食卓事情が垣間窺える。  見られては都合が悪いものを包み隠しているかのようにぽっこり膨らんだ新聞紙の塊が入った袋なども置かれている。大方中身はうっかり食べるのを忘れて腐らせた、貰い物の野菜や果実辺りだろう。  そのうちそのうち等と思いつつ、毎日のように同じものをもらうものだから消費が追い付かず、幾日か経った後冷蔵庫の奥で毒々しいグラデーションに変色したそれを見付けてウギャアと叫ぶ──と、ここまでが鉄板の流れである。  我が家も大体そういう流れでこの時季は数多の食材を腐らせては止む無く捨ててきた。多分、特に今はどこの家もそんな感じなのだと思う。 じゃあ、“これ”も──。 つまりはそういう事、なのだろうか。
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