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「それで、今に至るワケさ」
大輔といい雅人さんといい、警察ってそんな人ばかりかと疑いたくなる。
なんでもいい。無事でよかった。
「和達も警官ってことはないよな? お前は本当は?」
「私はただの一般人です。詮索は不要ですよ」
片腕を無くしているのにその落ち着きようは、どう見ても一般人のそれではないが。
「安心していいよ。わだっちゃんのことはオレがほしょーする」
こいつが何者であろうとも、正美さんはもういない。あの人の駒となった者も、もういない。
車はトンネルを抜け山道を下る。
「……ところで、この車はどこに向かってんだ?」
「恭介くんだっけー。重病人が2人もいるんだからさー。まずはアレだ、病院よ」
重病人が二人? 和達なんて片腕がねえしな、もう一人は──あ、俺か。
俺は今日退院した、若葉総合病院に再び担ぎ込まれた。
「よぉ、奇遇だ」「恭介くん!? また来たの?」
安念さんとも再会。例によって被せ気味だ。
自分より和達が重症であり、俺たちはそのまま入院という流れになった。
怪我と疲労で、一週間の入院となり、その間、裕二は毎日来てくれた。
「例のファイルだけど、長野さんがしかるべき機関に持ち込んでくれたみたいでね、全貌の解明もそう遠くないみたいだよ」
「……そっか」
あの激動の日々──といっても、三日程度の出来事だったが、今こうして生きていることさえ、信じられない。
多くのものを失ったが、これでようやく、区切りがついたな。
「……裕二は、正美さんのこと知ってたんだな」
「中学の時からね。恭介から名前だけは聞いてたし、書店で本を見つけた時、もしかして……って思ったんだ」
最初はほんの、ささいなことがキッカケだった。サークル内で偶然耳にした『佐渡正美』という名前。
確か恭介が中学の時、師匠と仰いでいた人と、最近見た書籍の小説家も佐渡正美。ネットで検索するとカウンセリングの病院がヒットし、その担当医も佐渡正美。
サークルメンバー内に不審な空気を感じた矢先、花林恭介のドッキリ撮影企画。
これは偶然? それとも……?
「最後には正美さん、謝ってくれたよ。どうあっても許されることじゃねえけど、俺は……身内だからな」
どうしても心から恨むことはできなかった。
「いよーう。元気そうだー。見舞い持ってきたぞー」
雅人さんも来てくれた。さすがに作業着ではなくスーツだった。
「どうですか? その後は……」
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