8・忍び寄る影

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冗談っぽく茶化すリアに私の魔力パンチをお見舞いしながら、「続きはまた今度ね」とクィートくんに呟いて、リアと戯れた。 「……なんてことはないな」  クィートくんから発せられたその言葉を戯れる私達は気付かず、シエラだけが視線を私達に向けたまま、その一言を聞いていた。  その瞬間、服の下から怪しく輝くネックレスもシエラの目に止まった。  私達一行は、千年宝石の為の情報を集めることとなった。  アダマンタイマンは常に移動をする為、巣に帰るのは1ヶ月のうちの3日間、残りは可能な限り、餌を求めて巣を離れている。 「あっ、そう言えばなんですけどいいですか?」  シエラが挙手をして、提案を持ちかけた。 「ティアラさんの七星の燕(セブンスワロー)って、あれ情報収集とか、操作魔法に属していると思うんです」 「あっ、そうなんだよ。けど、やり方わかんなくて、悩んでるんだ」 「自分の意思と、魔力を吹き込んだりすれば行けそうですけど、試しましたよね?」 「あっ、魔力は吹き込んでないかも」 「えっ、ティアラさん……」 「てへへ……」  おちゃらけて見せるが、シエラは白い目を向けて、睨めつける。 「発動時点で魔力消費があったから、その後に必要になるとは思わなかったんだもん」 「そういう魔法は、永続的に消費するか、発言後に再度魔力を消費するタイプに分かれます」 「ふんふん」 「あの魔法の場合、恐らく情報の交換の際に必要な魔力量を消費するタイプなので、吹き込んだ魔力に応じて距離が決まると思います、とここまでは定説ですね」 「定説……?」  ここまでは理解出来たけど、これ以上となると、授業でもして貰わないと、難しい。  けれど、シエラの狙いは、別にある。 「ここからは仮説ですが、恐らくティアラさんからの送信側と、受信側からの返信も可能だと思うんです」 「うんうん……てことは受信側が魔力を吹き込むのかな?」 「そうなりますね、その際に受け取った魔力の質で『相手が誰かわかる(・・・・・・・・)』はずです」 「うんうん……あれ、でも送信時点でわかるんじゃないの?」 「そうですね、ただし相手が仮に誰かに操作(そうさ)されている場合、魔力の質が変わることがあると思うんです」
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