ドアスコープの向こうから

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「…………んっ……う、うぅ~~ん……? あ、あれ?」  いつの間にか寝てた? ここは……玄関前? えっ、何でこんな所で眠ってたんだっけ??  えーーっと、昨日はいつも通り終電で帰ってきて、すぐ風呂に入って寝転んで、それから…………! おっと、スマホに通知が来てる。 「着信26件!!? それにメール35通!!?」  スクロールすると、送信者名はオール『部長』……怖っっっっ!!!!  えぇ~~~~。彼氏の浮気を発見したメンヘラ彼女かよ。誰得なの?  勤勉な俺が一体何をしたって――――ん? 『15:00』 「ふぁっっ!!!?」  えっ、この数字って待受の壁紙とかじゃないよね? まさしく『TPO』のTですよね? も、もしかして……寝過ごした?  いやいや、でも間違いなく4時30分にアラームセットしてあったやん!?  その上バイブあり、音量最大、さらには5分毎のスヌーズ設定までしてたはずなのに、それで全く起きないことってある? そんなの冬眠だろ。  って、グダグダと考えてる場合じゃない。盛大な遅刻じゃねーか。  と、とりあえず、速攻で遅刻の連絡を入れて出社の準備だ!  うん? 何か重大なコトを忘れているような気がする。  それに、なぜだか右肩を中心に全身がズシリと重く感じて、妙に怠い。  まるで誰かを背負っているような、誰かが重くのしかかっているような……?  まあ、多分つかれてるだけだろ。 「ハァ……今日もまた、会社の犬としてトコトンこき使われるのか……。仕方ない、頑張ろう」  ――そして明日もまた、深夜3時がやってくる……。
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