2つの羽

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2つの羽

「よろしくね、委員長」 「あぁ...まぁすぐなれると思うよ」 あたふたしてる子犬みたいな転校生に、俺はクラス委員っぽいセリフをかけた。 さぁ、もうすぐ授業が始まる。 もう用は済んだから絡んでは来ないだろう。 その間に苗字に書き換えなければ..... 「ねぇ委員長、トイレってどこ?」 はぁ?? 「教室出て左をまーすぐ行けばあるよ」 もう、そんな構ってあげる時間はないんだから。 俺には重大な任務があるんだから。 「ねぇ委員長」 「今度はなんだ」 いっぱいビックリマークを後ろにつけて返したかったが、いい人を演じるため頑張って抑えた。 「これ...なんて読むの??」 転校生の人差し指が黒板の方向に動いた。 その先には 日直 咲羽くん の文字があった。 しまったァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!!!!!! もうおしまいだ。。世界の終わりだ.....。。 「あー....それは......そのぉ...」 言いたくない、 これを言ったら何かが終わってしまう気がする。 チラッと転校生の方を見たら、首を傾げてる子犬がいた。 「..........ショウ」 俺は聞こえないようにボソッと言った。 「へーーー!!!しょうって読むんだ!!!!かっけー!!!」 なんで聞こえてるんだよ...っ!! ほんとに犬かよ!! 「俺とお揃いだな、委員長」 ニヒっと転校生は笑う。 「あはは...そう、だな......」 俺は密かに心の中で、 きっとこれでこいつとの会話は人生で最後だと望んだ。
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