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二度目に会ったのは間もなくだった。翌日、いつも通りに部活に出たあとのことだ。部室でトランプをしている部員たちの誘いを断ってひとり先に帰路に着いた。校門を出て自転車に跨った時、 「笠原」  今しがた到着したと思われる松岡に声を掛けられた。 「松岡先輩、どうしたんですか」 「昨日、勉強見てやるって言っただろう」  それを思い出すのに少々時間がかかった。 「……アレ本気なんですか」 「俺は言ったことは守るんだ」  松岡の真面目な性格がこんなところで窺えた。 「一時に市の図書館に来いよ。どうせ今、何も持ってないんだろ」 「え、あ、はい……。まさか、それを言うためだけに来たんですか?」 「連絡先知らないのに、伝えようがないじゃないか」 「分かりました、一時ですね」 「お願いします、だろ」 「……お願いします」  面倒だと言うのが正直なところだった。勉強を見てくれるというのはただの社交辞令で、本気で受け止めていたわけじゃなかったのに。思いがけず松岡の律儀さに呆れて断るに断れなかった。
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