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見下す者は見下される
すると記者と名乗る人物の陰から数人の屈強な男達が姿を現し、金城を押さえつけた。
「やっと見つけたぜ、馬鹿なマイチューブ出演で。皆が馬鹿みたいに地図を頼りに埋蔵金を探すと思っていたのか。馬鹿じゃないの。地図を描いたやつを探した方が早いだろうが。何処だ、何処に隠した。埋蔵金のありかを吐け」
記者は男たちに押さえつけられて床に這い蹲る金城に詰め寄った。
金城は反射的にソファの方に顔を向けた。
「なるほど、そこか」
記者はナイフでソファを切り裂いた。
中から三億円の金が姿を現した。
「こいつ、ひでえ奴だ。貧乏人をど田舎の埋蔵金探しに借り出しといて、金は自分のマンションに隠し持ってやがった。皆、やっちまえ」
金城は金を取られた上、ボコボコにされた。そして、街はずれのゴミ捨て場に捨てられた。
街行く人は汚い者を見るように見下した目で金城を見下ろした。
かって、金城がそうしたように。
金城は消え行く意識の中で、宝クジの賞金引き渡しの際に銀行員が言った戒めの言葉を思い出した。
「くれぐれも、他言なさらぬように」
(完)
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