図書室の幽霊騒ぎ

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図書室の幽霊騒ぎ

 そろそろ梅雨入り宣言が南の方から聞こえてきそうな五月中旬なのに、突然始まった真夏日。首都圏では、それがもう6日も連続している。今年の異常気象は常識を覆すほどのスケールらしく、ほぼ熱波のような暑さに襲われて人も動物もあえいでいる。打ち水を行った所もあったようだが、焼けるような暑さの歩道に水を撒いて濡らしたくらいでは何ら意味を成さず、早々に二度目を諦めた様子だ。  今日も某地下鉄Q駅の地上の出口から吐き出された人々は、朝から容赦なく降り注ぐ太陽光に目を細め、熱気で雲が溶けて消えたかのような青空を恨めしそうに仰ぎ見る。その多くはビル街のサラリーマンやらOLだが、彼らの中に同一のセーラー服姿の女子高生がたくさん交じっていた。  彼女らは、そこから歩いて300メートルくらい先にある中高一貫の女子校の生徒たち。学校側の計らいでもう夏服に着替えて良いことになったので、ほとんどの生徒が真っ白な上着に水色のストライプの襟と水色のスカートを着用している。暗い色のスーツの上着を手に持つ会社員の列を縫うように、眩しいホワイトと涼しげなライトブルーが通り過ぎて行く。  ペアを組んだり、三、四人の集団になったりして、笑い声やら驚きの声やらを振りまく彼女たち。はた迷惑な連中に近寄らない、交わらないとばかり、ソロで黙々と歩む者たち。そんな一団が過ぎ去った後、六人の固まった集団が階段を踏みしめて地上に現れた。
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