ポインセチアの墓

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 「わたしがエルバリスの末裔?」  ポインセチアはにわかには信じられなかった。 影のさす国の王と名前が似ているというだけで、日の当たる国から命を狙われるのは、納得がいかない。それほどまでにハイドレインジアの王は暗殺者の存在に怯えているのかわからないが、自分には暗殺者扱いされるいわれはない。ポインセチアは兵士の言ったことを頭で否定した。  「そうだ。貴殿は六代目エルドリス卿となるひとだ。失った地位を取り戻す為にハイドレインジアに復讐しに来たのではないか?」  「うちの子をたぶらかしても無駄だよ。わしが生きてる間はね。ポインセチア、カフェ。今のうちに逃げな!」  「でも店長......!」  「良いから、お前たちは逃げな。ここはわしに任せておきな」老婆はポインセチアとカフェにそう叫んだ。  「店長、ごめんなさい!」  ポインセチアはカフェを連れて雪の下亭の裏口からカタツムリに乗り込んだ。
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