12年越しの告白

22/36
7494人が本棚に入れています
本棚に追加
/393ページ
*** この1週間は、本当に慌しかった。 思ったよりも仕事の依頼がきたのだ。 このペースだと、土曜日の同窓会はドタキャンになりかねない勢いだったのだが……。 「無事に仕事は片付いたのか?」 「片付いていないけど、もういいよ。」 そう電話で告げたのは1時間前。 投げやりな返事だが、終わる見通しがついたので、こうしてやって来たのだ。 そうでなければ来るはずがない。 午後7時、横浜市内の某所。 彰浩の幹事で開かれた同窓会は、思ったよりも大勢のクラスメートが参加していた。 「大樹!?久しぶりだな!!」 同窓会は年に1回開催されているらしいが、卒業以来初めての参加になる俺に、嬉しそうに話しかけてくれる級友たち。 「え、もしかして……須永!? って、スキンヘッドかよ!」 「イメチェンだよ、似合うだろ?」 「全然似合ってねーよ!」 中には失恋により残念なイメチェンを果たした奴、彰浩のように結婚して子供がいる奴、医者や教師になった奴もいる。 歳は確実に重ねていて、誰もがあの頃よりは大人になっていた。 それでも、懐かしい雰囲気に当てられて、どこか心が浮き立ってしまう。 .
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!