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Prologue
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「愛する」という感情が分からない。
家族や周りの友達や仲間のことを、大切に想う気持ちがそれに値するのだと誰かが言った。
だからあなたは、とても優しい愛情に満ちた人なのだ、と。
そうか、これはかつての恋人が口にした言葉だ。
『大ちゃんの人生には、私は必要ないみたいだね』
今までに出逢った誰よりも、自分を理解してくれている。
そう思って、側にいる居心地の良さに甘えていた俺に、刺々しく告げられた別れの切り札。
引き留めることができない。
別れを受け容れることしかできない。
自分の全てを賭けてまで、馴れ合いの関係を繋ぎ止める気持ちにはなれなかった。
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