プロローグ

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 人の笑い声が怖い。視線が怖い。でも私は武器を持たないので、目を閉じて石になる。 雲になる。漂う金魚になる。動かない絵になる。許されたいと嗤うウソツキな愚者になる。  貴方が来ないで欲しいと願う夜を止めるから、朝になる。  貴方が今、何を考えているのか。  それを想うと私は筆を持っている手が震えて、音もなく落とす。  辛いと叫ぶ人を、どうかだれも笑わないで。
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