火曜日、昼下がりの午後。

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慣れない時間に入ったせいで、いつも以上に疲れていた僕は、自分へのご褒美として目に付いた喫茶店へと足を運んだ。 そこでたまたま働いていたのが、真山さんだった。 今日のような明るい声と綺麗な笑顔で出迎えてくれた真山さんは、その時の僕にとっては本当に女神のような存在に見えた。 それだけでも十分な程に心は満たされたのだが、注文を取る際に放った彼女の一言が、僕に突き刺さった。 「…失礼ですが、お疲れですか?」 「……えっ?あぁ…まぁ少し、ですけど…」 「やっぱり!そうでしたか。もし宜しければうちのコーヒー飲んでいって下さいね?…それではご注文お伺いします。」 「あっ…じゃあコーヒーお願いします。ブラックで。」 「ありがとうございます、かしこまりました。」 そう言って、とびっきりの笑顔を見せた彼女は厨房へと姿を消したのだった。 ただでも素敵な女性で、一目惚れをしたというのに、僕が疲れているということを見抜いて気遣いも出来るなんて…僕の中で彼女が本物の女神になった瞬間だった。
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