火曜日、昼下がりの午後。

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火曜日、昼下がりの午後。

火曜日、午後3時。 コンビニのバイトを終わらせた僕は、ある場所へと向かう。 「いらっしゃいませ。」 明るい声に出迎えられて、疲れていた心身が一気に軽くなるような感覚に襲われる。 いつもの特等席に座った僕は、もう何度も目を通したメニュー表を見るフリをして彼女を見つめた。 彼女こと真山さんは、『喫茶chiffon』でバイトをしている学生さんだ。 長い黒髪を一本で束ねて、落ち着いたナチュラルメイク……清楚で上品で可憐、その言葉が全て当てはまるような彼女の姿に、僕は一目惚れをした。 「ご注文は何にしますか?」 ニコリと微笑む彼女の笑顔に胸の奥が熱くなる。 「ケーキセットで…コーヒー、ブラックでお願いします…。」 「かしこまりました、少々お待ち下さい。」 真面目に仕事をこなしながらも、いつも通り綺麗な笑みを浮かべる真山さんを見つめて今日も素敵だなと、つくづく思った。 ーーー彼女に初めて出逢ったのは勿論、『喫茶chiffon』である。 その日はいつも入っているバイトの子が急に体調を崩してしまい、代わりに入った後のことだった。
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