マコちゃんとチィとボク

24/35
48人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
繋いでいた手を離してもらった。両足を踏ん張っていたけれど、そんな余裕も無くなってくる。 マコちゃんが空いた腕を壁に突いて、覆い被さるような体勢になってきた。壁ドンという言葉が浮かぶが、それよりも優しくて、距離が近い。マコちゃんの少し荒くなった呼吸が耳元で聞こえるくらい。 腰が落ちそうになって、マコちゃんの腕や肩に、しがみ付いた。結局、マコちゃんの手の中で出してしまった。 マコちゃんの胸の辺りまで飛んでしまっていたのに、そんな事はお構いなしという感じで、残っているのを根元から絞り出すように、指の環をぎゅうっと窄めて、一度先端まで扱き上げてくれた。 それからようやく、詰めていた息を吐いて、脱力し切ってマコちゃんに寄りかかる。すうっと全身が涼しくなって、汗が引いていくのを感じた。深く息をしたいのに、顎を乗せている広い肩に喉仏が押し付けられて少し苦しかった。 マコちゃんは壁に突いていた腕を離して、 「よくできまちたね〜」 なんて小さな子供か、ペットを褒めるように言いながら頭を撫でてきた。 「マコちゃん、ねぇ、ガキじゃないよ…」 ブリーチで脱色して傷んだ髪をうりうりと撫で回されながら念の為に言っておいたが、ついに下の世話までされてしまって、説得力なんて無いのは分かっていた。 抱き合う形になっていた体を離し、マコちゃんが顔を覗き込んできた。 「いきなり元気になっちゃって、ビックリしたわよね。」 掛けられたその声には、押し付けがましさが無かった。それから、マコちゃんは一度手の中を見ても何も変わった事なんて無いという風で、 「これからは、もう少し早く気が付いてあげられるようにする。」 と言って笑ったのだ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!