晴れのち雨の日の邂逅

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晴れのち雨の日の邂逅

「透明なビニール傘は、バリアみたいだよね」    弱まる気配のない雨。  新品のビニール傘を差して歩く神立は言った。 「バチバチって音しながら雨跳ね返してるの見えるでしょ。うわあ、私守られてるーってなるよね」  そう言いながら、白いシャツにデニムを合わせた彼女はくるくると傘を回す。  彼女のバリアから飛散する水滴が僕の傘にぶつかる。うわあ、僕守られてるー。 「てか終理くんは最近元気してた?」 「この前も会ったけどな。まあ普通だよ」 「高校の時から全然変わんないよね」 「そうかな。神立は変わったの?」 「そりゃ人は変わるよ。雨は止むのと同じように当たり前にさ。ほらほら、すごく大人っぽくなったでしょ?」  そう言って今度は彼女自身がくるりと回る。  神立とは同じ高校に通っており、家も近いため結構仲良くしていた。  僕は昔からあまり他人に興味が持てず一日の大半は単独行動だったが、それに対して彼女の周りにはいつも人が集まっていた。  他人との繋がりに興味のない僕。  他人との繋がりを尊重する彼女。  そんな性格が真逆すぎる僕たちは、一周回って歯車が合ったようだった。    しかし卒業後は別々の大学に進んだため、顔を合わせることも少なくなった。ただやはり生活範囲は似通っていて、今でもたまにコンビニや道端でばったり会うことがある。
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