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「ずっと式を挙げなかったら。
ずっと結婚前の一番熱々な時期の恋人同士でいられる感じがするだろ」
と言って貴弘はのどかを見つめ、強く手を握ってくる。
のどかは赤くなりながらも、
「いやいや、それ。
おばあさんになっても、式場は何処にしましょうかね? おじいさんって言ってるわけですか?」
と言ったのだが、貴弘は、
「それもいいな。
結婚式と金婚式を一緒にやればいいじゃないか」
と笑って言ってきた。
「そういえば、お前がいいって言ってる海の見える式場って、どんなとこなんだ?」
「そういえば、社長は忙しくて、まだ見てないですよね、あの式場。
すっごい素敵なとこなんですよ~。
だって、この愛着あるあばら屋敷と迷うほどですからね。
ちょっと先の駅まで乗ってたら、電車からでも見えるんですよ。
海が見下ろせる場所にある白亜の神殿みたいな感じで。
イグレシアってとこなんですけど。
すっごい格好よくて、親切な男性スタッフの方が丁寧に式場の説明してくださ――」
「却下だ」
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