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エピローグ
昼を告げるチャイムが鳴って、社内の人間がざわざわと動き出す。
俺は資料の入ったファイルを手に、目的の部屋までの道のりを急いだ。
「失礼します」
コンコンコン、とノックをしてから中に入ると、パソコン作業をしている新堂さんと目が合った。
「これ、修正された資料です。確認をお願いします」
「ありがとう」
「それから、この前の会議で出ていたB社の件ですが……」
「はい、ストーップ!」
がたんと立ち上がった新堂さんに驚いて硬直してると、彼はデスクの場所から移動して、固まる俺を抱きしめた。
「敬語なんてここでは使わなくて良いってあれほど言ったのに! 何でそんな他人みたいな感じで僕に接するの!?」
「え、いや、だって……会社ですし」
新堂さんの傍で働くようになって早三か月。ちょっとずつ仕事の感覚が掴めるようになってきたけど、まだまだ俺は勉強中の身だ。そんな俺に、新堂さんは無茶なことばかり言ってくる。
「そりゃさ、誰かが居る前じゃマズいけど、今は二人っきりなんだから。いろいろ気にしているんだろうけど、うちは社内恋愛禁止じゃないよ? だから僕と青葉君の関係が周りに露見しても何の問題も無い」
「……いつかはバレるでしょうけど、時期が早すぎます。入って来た新人を三か月でものにした奴って新堂さんが思われるのは嫌です」
「青葉君……そこまで僕のことを思ってくれていたの?」
「当然です」
「好き!」
「ちょ……!」
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