過去の未來へ / 彗星の奇蹟 6

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燃え上がる街を走った。 吹き上げる炎に赤黒く染まる空は、巨大生物の体内にいるような何とも異様な雰囲気。 自分はどうなってしまうのか。 そんな恐怖と絶望に押し潰されそうになる。 この光景は忘れることが出来ない━━━ その色は私の心に強烈なトラウマを刷り込んだ。 必死の形相で逃げ惑う人々は、ただ自分の命を守るために他人を押し退け走る。 誰かに突き飛ばされて転んだ。 本物だ。 本物の“命の危機”に晒されているんだ… 背中に括り着けた、日給の入った袋の紐を握り締めた。 お金を持って、おばあさんを連れて逃げなくては! 崩れ落ちて行く手を塞ぐ家々を迂回しながら道を急いだ。 血の空に旋回する爆撃機の翼が浮かび上がる。 そこから、卵を産み落とす魚のようにぼろぼろと爆弾が撒き散らされた。 街のあちこちで新たな爆発が起こり火の手があがる。
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