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鳴り響くサイレンに飛び起きた。
同僚たちは皆、無言のまま急いで防空頭巾を被り荷物を背負う。
私も慌てて真似をした。
━━━これが…空襲警報━━━
時間を置かず、地響きのような爆発音が連続して旅館はパニックに陥った。
一際大きくヒューという音が聞こえ、大きな音と共に建物が揺れる。
自分が戦争の只中に居ることを今更思い知り恐怖に震えた。
悲鳴が飛び交う中、女将さんや番頭さんが逃げなさいと叫んでいる。
避難の訓練はしていた。
だけどこんな所まで爆撃されるなんて誰も本気にしていなかった。
緊急避難なんて事態は無いと思っていたのに…
誰もが家に逃げ帰ろうと散り散りになる。
私は━━━
春江ちゃんと別れの言葉を交わすとおばあさんの家を目指して駆け出した━━━
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