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1 突然の同居生活
ふかふか、ふわふわ……やわらかいものが触れてくる。
なんだか雲の上でお昼寝しているみたい。
あったかくて、きもちいい。
このままずっと、こうやっていられたらいいのになぁ……。
「んなぁ~ご」
突然聞こえた、にごった鳴き声。
驚いて目を開くと、わたしのお腹の上に巨大な猫がのっている。
「おもっ……!」
ベッドの上で体を起こすと、猫がお腹から落ちて、ぬいぐるみみたいにゴロンと転がった。
雲の上なんかじゃない。わたしに触れていたのは、このでっかい茶トラ猫だ。
「あ、ミル。こんなところにいた」
「ひっ……」
部屋に入ってくるその気配に、わたしは声にならない声を出し、タオルケットを引っ張り上げた。
「ダメだろ。こんなところに入ったら」
「にゃ~ご」
ゴロゴロ喉を鳴らしはじめた茶トラが、すっと抱き上げられる。
おそるおそる視線を向けると、制服を着た背の高い男の子が、わたしのことを見下ろしていた。
「おはよ」
「……おは、ようございます」
あ、ヘンなところで息つぎしちゃった。
「朝メシ、できてるって」
男の子は無表情のままそう言うと、猫をどさっと肩の上に乗せ、部屋から出て行った。
トントンっと階段を降りる足音が小さくなる。わたしはタオルケットを頭からかぶる。
「やだぁっ」
見られた。わたしのパジャマ姿。ぼさぼさ頭も。寝起きの顔も。
「やだぁ……」
開けっ放しのドアの向こうから、猫がまたかわいくない声で、「なぁ~ご」と鳴くのが聞こえてきた。
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