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「いやいや。
それにしても、君がこんな可愛らしいお嬢さんと結婚していたとは」
光一は、見合いを勧めてきた相手にだけ、実は自分にはこういう相手が、と花鈴の写真を見せていたらしく、監査役は、花鈴の存在を知らなかったようなのだ。
ああ、いえいえ、と光一は適当なことを言ってごまかそうとした。
すると、監査役が、
「そんな他人行儀にしてるのも疲れるでしょう」
と言い出した。
光一が、わざと花鈴とよそよそしい感じにしていると思っているようだった。
いえいえ。
これが私たちのリアルなんですけど、と思う花鈴たちに監査役は人のいい笑顔で言ってきた。
「もういいんですよ」
もういいんですよ……?
その言葉の意図をはかりかね、光一と二人、思わず、監査役の顔を見つめる。
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