蒼月(Bluemoon)

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一緒にドローンに乗ってから、僕たちは笑ってばかりだ。 互いに、やっと笑顔を取り戻すことが出来て、嬉しかったのかもしれない。 尻尾には神秘的な力がある。 だが人並外れた力を得ても、オオカミやキツネのままでは、けっしてこんな風に楽しく時を過ごすことは出来なかっただろう。 僕は笑顔の七尾つぐみが、この上なく好きだ。 これからもふたりで楽しく笑いながら、どこまでも飛び続けたいと願う。 いつしか蒼い月(ブルームーン)は色を変え、蜂蜜のように甘く透明な光を放っている。 水面に反射して、僕らの行く手を明るく照らし出していた。 ふたりを乗せたSWANは、運河を行くゴンドラのように、濠に映る光の波をかき分けて進んだ。 (了)
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