4人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「筆井さんって、すごいですね。科学捜査だけでなく、心理分野でも活躍をするなんて」
猪野は会話を作るために話をかける。
何を話せば良いのかがわからないから、思ったことを話してみた。
運転に集中しているからか、表情も変えず真剣な顔つき。
猪野の中で余計なことをしたかなと思ってしまう。
「そんな、無理して話題を作らなくっていいよ」
信号待ちのところで筆井は猪野に声をかけた。
「まぁ、確かに人と仲良くやるには会話は必要であろう。しかし、そんなに気を使わなくっていいよ。苦労するのはこれからだと思うから」
苦労か。と猪野は思った。
確かに自分には経験してないところに飛び込んだような感じがある。
何も知らないからこそ、不安であった。
大変だ、苦労するというより、知らないことが知れた。
いつも街中で見る知的障害者。
介護の人が付ききりでものすごく大変そうだと眺めている、交番勤務。
その情景を打ち消すように薫太君と一緒に仕事をすることをなる。
薫太君は知的障害者であるが、腕の良いハッカー。
行動が決まっているから、規則正しい生活をしているのであろうと思われる。
毎日、同じように決められた時間に行動することなんて、難しい。
遅刻する日だってあるし、休みだとついつい寝坊をしてしまうことが多い。
規則正しい生活をするだけでなく、薫太君は自分で行動をできて成果を上げている。
自分のイメージしかないが、知的障害は必ず誰かがみていないといけなく、ヒヤヒヤするものだと思った。
最初のコメントを投稿しよう!