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「多分、途中で止めてやれねえと思うから……無理だと思ったら、俺の顔面ぶん殴ってでも逃げろ」
「怖いこと言うなよ……」
開いた脚の間に、勇星の腰が入ってくる。最後に勇星が屹立した自身にも液体を垂らし、先端を俺のそこにあてがった。
「………」
「………」
俺も勇星も、沈黙したまま。
「───っ!」
出会って初めて、俺達は一つに繋がった。
「ん、あぁっ……ゆう、せい……! あ、つ……熱い──!」
「痛てえより、熱いか……?」
「わ、分かんないっ……うあっ、あ……あぁ……!」
目尻からどっと溢れた涙が、頬をぼろぼろと零れて行った。まるで灼けるような熱さだった。感じている熱は激痛によるものなのかもしれない。だけど不思議と俺は……痛い、とは思わなかったのだ。
「ひっ、──う、勇星……! 勇星……」
無意識のうちに伸ばした手を勇星が掴み、自分の肩へと置く。
「しがみついてろ。もう少しだけ我慢な」
「う、うん……ん、ぁっ……」
身を倒してきた勇星を下から抱きしめ、出来るだけ落ち着こうと深呼吸を繰り返す。
馴染ませるようにゆっくりと、本当に少しずつ、勇星の腰が中に入ってきた。熱くて灼けてしまいそうだと感じたのは恐らく、勇星の一番太い部分が俺の中を貫いた時だったんだろう。そこを通過したからか、熱や涙や全身の汗は徐々に引き始めていた。
「大丈夫か、音弥」
それでも勇星は俺を気遣ってくれている。俺に負担をかけないよう、少しずつ少しずつ腰を進めている。時折動きを止めて俺の顔を覗き込み、声を掛けてくれている。
幸せだった。
産まれて初めて好きになったのがこの人で良かったと、本当にそう思った。
「勇星。……大丈夫。も、もう痛くない」
「無理すんな、泣かせたくねえ」
勇星の指先が俺の頬を拭う。
俺の大好きな、優しくて綺麗な指先──。
「………」
堪らなくなって、俺は勇星の手を取り……その指先にキスをした。
「大好きだよ、勇星……」
せっかく拭ってもらった頬がまた涙に濡れてしまったけれど、これは間違いなく嬉し涙だ。──やっと言えた。嘘偽りのない、勇星への想いをようやく言葉にして伝えることができた。
「大好きだ」
「音弥、……」
上から水滴が落ちてきて、思わず勇星の指から唇を離す。……始めは勇星の汗だと思った。風呂場と俺達の熱気のせいだと思った。
だけど違う。
「……音弥……」
勇星は泣いていた。泣きながら、笑っていた。
「ありがとうな、音弥」
「勇星……」
「俺も大好きだ。音弥、愛してる」
「勇星。俺も──」
続く言葉はキスで塞がれ、俺達は強く抱き合った。勇星の熱が俺の中で激しさを増す。もう、我慢する必要なんて何もない。
「あっ……!」
「音弥──!」
「ん、あっ、……ゆう、せい……! 勇星っ……」
勇星の腰が打ち付けられる度に、俺の奥深くが悦びに打ち震える。何度も何度も貫かれては引き抜かれ、まるで俺の中を激しく愛撫するように……勇星のありったけの気持ちが、俺に直接ぶつけられる。
「熱い、勇星……! あっ、あ……溶け、そう……!」
「俺も……。音弥、愛してる。ずっと一緒にいてくれ……」
頷き、勇星の体を抱きしめ、俺は何度も勇星に貫かれながら悦びの声をあげた。
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