3/5
2090人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
そうだったのか、同じ事故だったのか。 潤さんのお父さんは大ケガを負ったが生き残った。 一方、無事だった父は、人を助けようとして命を落とした。 これも運命なんだね。 わたしには小坂のお父さん、三上のお父さん、宇津木 周という実のお父さん、三人も素敵なお父さんがいるんだね。 お父さん、 私はあなたに会うことが出来なかったけど、あなたの優しさや強さ、勇敢な姿を知っている人は確かにいる。 それだけで、あなたを身近に感じ誇りに思います。 私のお父さんは、素晴らしい人だった。 笑顔が素敵なお父さん、 広い心を持ち、ひたむきに生きた人。 私の最愛の人の大切な人を助けてくれてたお父さん、あなたの娘に生まれたことを誇りに思います。 こみ上げる涙をこらえて、三上のお父さんに言う。 「お父さん、悲しまないでください。 私は宇津木 周を、私の父を誇りに思っています。 私の大切な人のお父さんを助けてくれたんですから。 運命なんです。 私も母も、幸せですから。 これからは、お父さんが私のお父さんなんですから、亡くなった父の分までよろしくお願いします。 ねっ、お父さん!」 「美緒ちゃん! 君は、君って子は…。 なんて、なんてすごい人なんだ。 さすが、宇津木 周の娘だね、ありがとう。 美緒ちゃん、潤になんかにはもったいないよ、 ありがとう、ありがとうな!」 そう言ってかなりの時間、お父さんと抱き合いながら泣いていた。 「ねぇ、もういいだろ? 親父、美緒から手を離せ、 いい加減に美緒を放せよ、このクソ親父!」 「あー、美緒ちゃん、大丈夫? 潤みたいな、器の小さい男でいいの? まだ今なら引き返せるぞ! なっ、美緒ちゃん、考え直せ。」 「うるせー!」 潤さんは本気で怒ってるけど、ようやくお父さんが落ち着いてくれて、みんな安心した。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!