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「あ、周くん? 宇津木 周( うつぎ あまね)じゃないか! み、美緒ちゃんの父親なのか? 亡くなった? 事故? あの事故なのか?」 お父さんは激しく動揺している様子だった。 「親父?どうしたんだ! 大丈夫か?」 「「「お父さん?」」」 「落ち着いてください、お父さん、 宇津木 周を、父をご存知なんですか?」 「ああ、知ってる! 私の命の恩人なんだ! 海外旅行中のバスの事故から救ってくれたのは彼なんだ。 たまたま、旅の途中で一緒になって、しばらく行動を共にしていた。 事故で大ケガをした私をバスから引っ張りだしてくれたんだ、周くんが。 私は、救助され病院に搬送された。 その後、彼に何が?」 「母から聞いた話しでは、 バスの事故で一度は助かった父は、何人もの人をバスから運び出して、助けたそうなんです。 助けた小さな子どもの母親が、バスにとり残されてると知った父は、彼女を助けようとバスに戻り、その直後にバスが炎上して亡くなったと聞きました。」 お父さんは、 「そんな、そんなことがあったなんて! 帰国したら結婚すると言っていた! いつか、いつか会いたいと、会って礼を言いたかったんだっ…、うっ、う〜っ…、」 声を上げて泣くお父さんの姿に、 みんな息を呑み、黙り込んだ。
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