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夏の夜、楽しい夏祭りに来ると毎年のように父の事を思い出す。
友達と一緒に遊びに行ってもアレだけは食べられなくなったのは父の所為である。
「あったあった。コージも食うだろ?かき氷」
「いや俺はちょっと、あっちのりんご飴食うよ」
「何だよ、腹でも壊してんのかよアイツ。付き合いわりーな」
友達同士で夜の祭りに来ると、毎年の様にどうやってかき氷を断るか考えていた。
それもこれも父の付いた嘘が切っ掛けである。
”かき氷食べると頭キーンってなるだろ。あれな、頭悪くなってるんだ”
そう言い続けられた結果、俺は等々かき氷を食べられなくなった。
まだ子どもの頃なら良かった。思春期になり彼女との夏祭りの出来事だった。
「かき氷半分ずつ食べようよ。折角だし」
そう言われたが、結局虫歯の所為にして彼女との甘い時間に水を差す事となった。
そんなこんなで、かき氷が食べられない事で多少なりとも青春の一部に影響を及ぼしたかき氷は、いい年になっても食べられなかった。
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