甘味な毒(Ⅰ)

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甘味な毒(Ⅰ)

 ある時から、1つの恋を見つけた。まるで視界に移る、全ての物が七色の光に満ちていた。  この人が好きだと自覚したら、もう止まらない。止められなかった。  初恋は実らない、と誰が最初に言い始めたのだろう。そんなジンクスさえも明久(あきひさ)にとっては憎かった。  早くもっと距離を詰めていれば、後悔はしなかったのか。  廊下の床を見つめて立ち尽くす。脳内には自分自身に対して自問自答を繰り返した。床はただただ茶色く変わる事はない。  明久はまんまとそのジンクスの型に(はま)った。
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