猫カフェ『nail of a cat』にて

1/1
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

猫カフェ『nail of a cat』にて

[14:50] 「……で、これは一体どういうこと?木ノ子さん」 うっ、や、やっぱりダメか。 私は【猫の爪】エージェント、田倉美乃子(企みの子)。 普段は偽名としての奈倉(なくら)()()を名乗っている。 ここは、猫カフェ『nail of a cat』 (猫カフェでありながら、猫の爪のアジトでもある) 今日はイベントを開催予定で、お客さんもたくさん集まってきている。 そのイベントとは、あの癒しのスペシャリストである「もちもち山敏光」様と一緒に写真撮影ができるという、フォトイベントなのだ。 人気の敏光様のイベントだけあって、若い女性客がワンサカ詰めかけている。 二本足で立つ彼の姿を見て「キャーキャー」と黄色い声を上げているのかというと……そうでもない。 どっちかというと、ザワザワして戸惑いの声が聞こえている。 「なんかちょっと……ちがくない?」 「これが、敏光様……?」 あと10分でイベント開始時間だ。 『nail of a cat』のアルバイト店員、伊達(だて)優作(ゆうさく)に問いただされている真っ最中である。 「木ノ子さん、どういうことか僕に分かるように説明してもらおうか。彼は一体…………」 そう、伊達の目線の先にいる彼は敏光様ではない。 その名は、もちもち山……。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!