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「アイス、一緒に食べてかない?一人じゃ食べきれないし。
良かったら上がって。」
初対面に等しい相手を招き入れるなんて、どうかしてる。彼だって困るだろう。
そう思いながらも、なぜか、彼は断らない気がしていた。
案の定、小さく頷いて、どうにか聞き取れるくらいの小さな声で「お邪魔します。」と言うと、サンダルを脱いでしゃがみこみ、丁寧に揃えた。
「ごめんね、散らかってて。適当に座ってよ。
アイスありがとね。食べよっか?」
箱を開けて一つずつ選び、残りは冷凍庫へしまった。
「足、伸ばしたら?」
正座で座っている彼の向かいに、胡座をかいて座った。
アイスの袋を開けてかじると、甘くて冷たい。
「旨い!
あー、アイスなんて久しぶりに食べたなぁ。ソーダ味ってトコが夏っぽいよね。
一人だとさ、なんかね。うん、買わないなぁ。」
俺ばかりが饒舌に話し、彼はチラチラとこちらを見るが、決して視線が合うことはない。
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