黒と赤、二つの指輪

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 確か、先程会った際にも同じことを言われなかったか――?  遼二はともかく、紫月の方はものすごく不思議そうに眉をしかめた程だった。 「あんた、そういえばさっきも俺ンこと見てそう言ったよな? ……もしかして俺って、あんたの親父さんに似てるとか?」  遼二が驚かさないようにと親しげにそう訊くと、ようやくと警戒心が解けたのか、男はおずおずとしながらも口を開いた。 「あの……すみません……少し父に……似ていたものですから。あの、僕はどうして……その……」  頼りなげな声の感じからしても心許なく、なぜ自分がここでこうしているのかが理解できないようである。 「それよりあんたさ、身体の具合はどうなんだ? どっか痛むとか辛えとか……あるか?」  とにかくも容態が一番だ。真剣な表情でそう訊いた遼二に安堵を覚えたのか、 「あ……大丈夫です。痛むとかはありません」  男は素直に答えてみせた。
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