Number 2

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「広瀬!」 会社のビルの前で待っていると広瀬が迎えに来てくれたので小走りで駆け寄る。 「なんか顔色悪くない?」 顔を見るなりそう言うのだ。 「よく分かるね」 「分かるよ」 「今日張り切り過ぎた。でもちょっと前進したからよかった」 「へー。どうやって?」 話しながら帰路について、家につく頃には頭痛はもう消えていた。飲んだ薬の効果も十分あるだろうが、広瀬といると落ち着く。癒される。限りなく素の自分でいられる。 私にとって広瀬は『そういう存在』だった。大切な存在だった。 それを失ってしまったのは、きっと私がずるかったからだろう。 * 「あんま飲むなよ」 翌日、予定通り葛城と食事に行った。ちゃんとしたレストランに行くような間柄でもないので日本にもあるチェーン店のピザ屋で軽く食事をした。体調は優れていたのでちびちびと飲んでいたが、2杯目に入る前に止められてしまった。 「大丈夫ですよ?」 「あー。せっかく心配してやってんのに。可愛くないなぁ」 「昨日は不調でしたが、今日は本当に大丈夫なので」 葛城に心配されるのはなんとも薄ら寒いのでやめていただきたい。 「そんな可愛くないと、ぽっと出の女に彼氏盗られるぜ?」 それは明らかに冗談でなんの他意もない、誰もがよく言うレベルの軽口。なのに言葉が胸にぐさりと刺さった。完全に、完璧にクリーンヒットしていた。 ――雛は1人じゃダメな人なんです あの日の水島の声が、全否定された痛みが鮮明に蘇った。 「……えっ!?!?」 葛城が目を見開いて固まっている。気がついたら涙がぽろぽろ流れ落ちていた。
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