一難去って、また一難

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「和興さーん、 お風呂、お湯を張りましたから、先に入ってくださいね。 アパートのお風呂だから狭いんですけど…、 タオルも出しておきましたからね。」 「あぁ、狭いのか? じゃあ、一緒に入れないのか?」 「入れません!ってか、入りませんし。」 和興さんは、クスクスと笑いながら、 「それは残念。」 そう言って、お風呂に向かった。 やっぱり、揶揄われてるよ。 和興さんがお風呂に入っている間に、シーツとピローケースを新しいのと交換して、枕を抱きしめて匂いを嗅いでみる。 よし!いい匂いだ。 キッチンに戻って、風呂上がりの飲み物を準備する。 ミネラルウォーターか、お茶、ビール? 和興さん、ビール飲むのかな? ガーデンパーティーではシャンパンだったけど、そんなの無いし。 そう考えていたら、風呂上がりの和興さんが顔を出した。 「水、いい?喉乾いた。」 水だった。 ミネラルウォーターを和興さんに渡そうとしたら、彼は上半身裸だった。 ひゃっ! 「な、なんで上は着てないんですか!」 「下を着てないより、いいだろ?」 そ、そりゃそうだけど! 鍛え上げて割れた腹筋とか、目の毒だ。 「俺、いつもこうだよ?」 「そ、そうなんですか。」 「里穂、今さらだろ? 俺の全部、見たことあるんだし。 里穂のも、ぜーんぶ見たからなっ?」 そう言ってニヤリと笑う和興さんが、あまりにもセクシー過ぎて、もう倒れそうだ。 「お、お風呂、入って来ますから…。 ビールでも何でも飲んでてください。」 「うん、サンキュ! 里穂、早く上がって来いよ? 良い子にして、待ってるからな。」 いや〜、甘すぎ!もう誰か助けて欲しい。 私の恋愛スキル低過ぎて、返す言葉も見つからない。 赤い顔の私は、風呂場に駆け込むしかない。
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